はじめに
ガムザッティやニキヤ、ソロルのバリエーションで有名な『ラ・バヤデール』
全体的なストーリーはいまいち知らないという人も多いのではないでしょうか
古代インドのとっつきにくそうなイメージがあるストーリー!
今回は『ラ・バヤデール』(ヌレエフ版)について
イラストと動画でわかりやすく解説します♡
作品について
ラ・バヤデール(La Bayadère)は、ロシアではバヤデルカ(Баядерка)と言われています
意味は「あの舞姫」(ニキヤを指す)
音楽は『ドン・キホーテ』や『パキータ』の作曲でも知られるレオン・ミンクス
登場人物
ニキヤ…インドの寺院の舞姫
ソロル…勇敢な戦士 ニキヤの恋人
ラジャ…国王 領主
ガムザッティ…ラジャの娘
大僧正…最高位の僧
ファキール…行者、修行僧
第1幕
第1場 古代インドの寺院
舞台は古代インド
たくましい戦士ソロルは、仲間たちとともに虎退治に向かっています
その途中、ソロルには気になることが、、、
それは寺院に仕える美しいバヤデールであるニキヤのこと
寺院の前庭には聖なる火がちらちらと燃え続け、寺院に仕える娘たちが、その火を守っていました。娘たちは毎日、祈りの時間になると火の前に進み出て、神に捧げるための美しい舞を舞うのです。国の人々は、めったに人の目にふれることのないこの娘たちのことを、聖なる神の舞姫、バヤデールと呼んでいました。
世界名作物語『ラ・バヤデール』著:新藤弘子
ソロルは仲間たちを先に行かせ、寺院に寄り道し、行者に彼女を連れてくるように頼みます
そこへ、法衣をまとった僧たちと、豪華な衣装の大僧正が現れました
『大僧正』とは、僧官の最高位のこと
大僧正とは – コトバンク (kotobank.jp)
ファキール達は躍動的な踊りで聖なる火を称え、バヤデール達は美しい舞を披露します
大僧正は、バヤデール達の中でも特に美しいニキヤを気に入っており、一人で踊らせます
大僧正はその美しさに愛を告白しますがニキヤは断ります
がっかりする大僧正と、ファキール達に水を飲ませる心優しいニキヤ
その晩、ファキールはニキヤとソロルを引き合わせることに成功します
ニキヤとソロルはなかなか会えないものの恋人同士だったのです
二人は永遠の愛を誓いあいました
そんな二人の様子を物陰から見ていたのは大僧正
大僧正は激しい嫉妬に狂うのでした
第2場 ラジャの宮殿
場所はラジャ(国王)の宮殿
ラジャは勇敢な戦士ソロルを気に入っており、愛娘ガムザッティと結婚させたいと考えています
ソロルはガムザッティの美しさに驚きますが、ニキヤとの誓いを伝えますが国王に逆らえず、、。
そこへ大僧正が来訪し、ソロルとニキヤとの関係をラジャに告げ口します
その様子を聞いたガムザッティはニキヤを呼びつけて身を引くよう命じ、そこから二人の激しい争いが勃発します
争いの中で偶然ナイフを向けられてしまったガムザッティは、激しい怒りに震えるのでした
第2幕
ガムザッティとソロルの婚約
舞台は一転、華やかに
ガムザッティとソロルの盛大な婚約式が行われています
大僧正、客達が登場し黄金の像の踊り、太鼓の踊り、バヤデールの踊り、壺の踊り(マヌー)など次々に余興のダンスが繰り広げられます
ソロルとガムザッティも踊りを披露します
幸せな二人の元へニキヤも現れ、切なく踊ります
ソロルからのプレゼントとして手渡された花かごに喜びますが、その中に仕組まれた毒蛇に噛まれて倒れてしまいまいした
大僧正は解毒剤を差し出しますが、ニキヤはこれを拒んで息絶えてしまいます
第3幕
第1場 ソロルの部屋
ニキヤが亡くなり、ソロルは部屋で落ち込んでいます
罪悪感や悲しい現実から逃れようと、ソロルはアヘンを吸います
第2場 影の王国
アヘンにより、ソロルの精神は夢の中へ、、、
夢の中では愛するニキヤと再会し、結ばれます
おわりに
ヌレエフ版はこの美しい場面で終わりますが、他の版ではこの後第4幕まであり、アヘンの夢が覚めた後に結婚式が続行、しかし寺院が崩壊して全員亡くなってしまうという終わり方をすることもあります
ダンサーによって登場人物の心情の受け取り方が様々だったり、バレエ団によってラストが異なるのも『ラ・バヤデール』の面白さ
見比べてみるのも作品の楽しみ方だと思います
特にパリ・オペラ座で上演されたヌレエフ振り付け・演出による舞台は、エイズに侵されていたヌレエフが、最後の力を尽くして作りあげた感動の作品となっています
“ラ・バヤデール”はヌレエフや親しい皆にとって単なるバレエではないのです
この‶バヤデール”は命の消えつつある人間が死の代わりに残したすばらしい贈り物なのです
小学館DVDBOOK『ラ・バヤデール』より
【ヌレエフ版 パリ・オペラ座バレエ団】
【マカロワ版 英国ロイヤル・バレエ団】
【グリゴローヴィチ版 ボリショイ・バレエ団】
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